高校では早い段階で文系と理系に分かれる学校が多いですが、どちらに進むのがいいのか、迷う人も少なくないでしょう。東京大学出身でサイエンスライターとして活躍する竹内薫さんは、文系に進んだものの途中で理系に移った経歴の持ち主。文理選択について、アドバイスを聞きました。(写真=本人提供)
【質問】
文系か理系か、どちらの方向に進むか迷っています。自分が得意なのは文系科目ですが、理系の学部のほうが今後、社会に出たときに役に立つでしょうか?(中学3年・女子)
【回答】
まず結論として、文系と理系、どちらが社会に出たときに役立つのかは明言できません。そもそも文系・理系という分類は日本以外にあまり見ないもので、海外に行って「あなたは理系ですか、文系ですか?」と質問されることはまずないでしょう。
最近は、コンピューターを使った情報科学系の仕事が増えています。文学部に進んだからといって、こうしたIT系の仕事に就けないわけではありません。実際、文系の学部を出てプログラミングの仕事をしている人は大勢いますし、最近では文理融合型の学部が増えていて、文系と理系のどちらでも受験が可能な学部もあります。
私自身も、大学受験のときは就職のことばかりを考えていました。30年以上前になりますが、当時は法学部が社会に出てから有利だと言われていて、実際、私の周りにも法学部を出て出世している人が何人もいました。ただ、私は東京大学で文科一類から法学部ではなく、教養学部に進みました。法学の内容は楽しかったものの、「自分には向いていない」と感じたため、法律分野からは距離を置き、改めて自分が好きな科学分野に関わるために教養学部で科学史や科学哲学を学びました。最終的には物理学科に学士入学して、カナダの大学で博士号も取りました。
将来、仕事に役立つだろうからという理由でスキルを身につけても、楽しくなかったら仕事そのものが続きません。それに、好きでやっている人にはかないません。さらに言えば、「就職に有利」という理由で何かを選んでも、あなたが大学を出るころに社会そのものが変わっている可能性もあるのです。
自分が好きなものが何かを見定めていきましょう。文系科目が得意で好きだと感じているなら、そちらに進めばいいと思いますし、逆に理系科目に魅力を感じる部分があるなら、そちらの方向にかじを切るのもいいと思います。理系文系のどちらが社会に出たときに役立つかよりも、「自分が何をしたいか」という点を意識してはどうでしょうか。自分が好きだと感じることから、その先に進むべき道が開けてくる、ということを心に留めておいてほしいと思います。
【回答者】
竹内薫(たけうち・かおる)/サイエンスライター。1960年、東京生まれ。筑波大学附属高校卒業、東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)、東京大学理学部物理学科をともに卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学理論)。理学博士。NHK Eテレ「サイエンスZERO」のナビゲーターを務めた。『ゼロから学ぶ量子力学』『中高生の悩みを「理系センス」で解決する40のヒント』など著書多数。
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